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代表理事ISS 参加報告

掲載日:2016年03月24日

 代表理事の廣瀬秀行が、2016年03月14日にカナダ・バンクーバーで開催された「International Seating Symposium」へ参加しました。そのレポートを掲載します。

はじめに

 平成28年3月1日から4日の午前中まで、カナダ バンクーバで開催されました国際シーティングシンポジウム(ISS)に参加いたしました。私がISSに初めて参加したのは2000年の米国フロリダ オーランドでの開催から、ほぼ毎年ISSは参加しておりました。定年退職の26年と厚生労働省にいました27年と不参加でしたので、3年ぶりです。

日本は頑張っている

 一番違っていたのは、今回、日本からも財団関係者を含めて多くの方が来られていましたが、それが明らかに倍増したことです。これは展示では実質4社がありましたので、前はキャロットがやっと出展してきていたのに、米国でその大き目サイズを出していたのは驚きでした。と同時に、日本で育ってきた製品が海外の自動車安全の試験でもまれ、米国で市販、そして改良されていることに感激しました。井の中の蛙になりたがりますが、海外で戦い、もまれてちゃんと製品になること、まさにこれが財団の目指すところのような気がしました。

展示

 初日は、機器のプレゼンテーションがあり、電動車椅子の座席が上下するものが目立ちました。上がったまま移動していましたので、強度や転倒機能が気にかかりました。また、発表でスマート機構が目立ち、実際にそれを乗りました。腕につけたセンサーで手動車椅子後部につけた駆動ユニットを動かして移動のアシストする機能です。勉強不足でしたが、アクセスで輸入されています。一度はお試しを。また、写真でもありましたが、ゴルフ用の電動車椅子がオットボックから出展されていました。車輪が大きく、説明者いわく、パッテンググリーンで使えるとのことでした。あとで、フットレストが地面に付かないかが気になりますが、ISOのフットレストは体重負荷で維持されるので、調整具合かもしれません。ゴルフ場もだんだん高齢化による障害対応が迫られているので、面白い視点です。
 また、電動車椅子のパラモビールは衛星を通じて、各機構のモニタリング、例えば膝部の稼働状況やその故障を遠隔で把握し、なおかつどこでそれが起こっているかわかるシステムをデモしていました。私も故障には苦労しましたが、エンドユーザからくる故障のなかに、実は故障でないものが多く含まれています。それを遠隔で判断できる可能性を持っているので、効果的な修理が確実にできる点で有効なシステムです。
 また、子供用の電動車椅子が多く展示され、それが発表の方にも多く反映されていました。また、車椅子ではないのですが、マニュピレータ―やBFOのアシスト版の展示もあり、その動きも繊細になっており、操作性は難しいのですが、より現実になってきた感じがしました。

発表

 発表は全体講演でコミュニケーションの重要性をまさにシーティングの創設者Minkel氏が話され、カナダのエンジニアがカナダで行われている高齢者への電動車椅子対応CanWheel(http://www.canwheel.ca/)の解説をされていました。昔からカナダでは高齢者に対する電動車椅子が使われ、それに対する発表も多いいので、その歴史も含め着実な仕事をしていると感じました。また、以前はシカゴリハ研究所におられ、ISOでも一緒に仕事をしましたSusan Johnson Taylorさんの障害者の高齢化について話されました。彼女のライフワークの仕事です。日本でも障がい者の高齢化をコホート研究していく地道な仕事が必要です。残存能力での生活は身体に負担を与えます。この対応が必要なのではないかと思いました。
 一般発表では子供、それも生後14か月の子供に対する電動車椅子のアプローチで、練習が可能であると同時に、心理や発達にも効果があるという結果を出されていました。しかも、子供病院の理学療法士が発表していたのは驚きでした。子供の神経難病は運動障害だけなので、このような対応は日本でも行うべきであると感じました。
 ISSは総論での話が多いいので、ちょっと不満です。しかし、機器の特性と障害に合わせていく、総体的・中間的・選択的立場が明確に出ている点も見過ごすべきではないでしょう。昨年の日本シーティングシンポジウムではPT、OTがベルト、足部支持、テイルトなど部位別で講習会を行いました。これもISSを真似ました。
 その中で変形を持った方に対して、モールドにロホを埋め込み(ここまでは国リハで対応した)、電動車椅子操作をしている方の実例がありました(図1)。ベッドへのトランスファ―時、モールドの側方支持になっている部分が電動で開き、そして電動車椅子の座面が斜め(前額面上で)になり、側方へトランスファしやすくなるようにして、トランスファしていました(図2)。モールドで作成すると、臀部が包み込まれ、抜けにくくなります。それを座面を斜めにして移動しやすくしていました。前額面での斜めは褥瘡予防にはあまり効果がないと考えていましたが、このような使い方があることが分かっただけでも臨床に有効です。本財団でも機器をどのように使いこなすか、それを製作事業者等に戻すことで、機器の有効性を提案できると考えています。



図1 モールド電動車椅子

図2 電動車椅子が斜めになっている。


 自動車安全については理学療法士の方が、固定手法を間違えると大きな事故につながることを衝突実験(スレッド試験)(https://www.youtube.com/watch?v=2ew9110dvU)で示していました。日本はこの対応を全くしていないので、大きな課題です。
 日本の発表ですが、これも明らかに増加していることは頼もしい限りです。米国、カナダの次くらいの発表数だと思います。もっと発表が増えること、そして論文へと進んでいっていただければと思っておりますし、それを支援できればと考えています。

ISO

 ISSの前日にISO(国際標準)のISO16840 Wheelchair Seating の会議があり、日本本から埼玉産技の半田氏、国リハ白金氏、群馬大学亀ヶ谷氏が参加し、イギリスのエキスパートBarendに感謝されました。老人は去り、若手が出ていくべきです。この分野、国際的にも未完成のところが多く、日本は国際的に研究ができますので、援助できればと考えております。

さいごに

 最後に、今回2000年からISO16840 Wheelchair Seating を検討するISOTC173(福祉機器)SC1(車椅子)WG11がそのワーキングですが、4−5 年一緒にISO16840-1 座位姿勢表現で行っていたスウェーデンのOTのMaria(Hjalpmedels centlaren Molndal)さんと10 年ぶりにお会いでき、懐かしく感じました。私の世代がリタイアしていくので寂しい限りです。

代表理事 廣瀬 秀行


発表1

掲載日:2016年03月24日

見つけた日本人
ISO Performance Standards for Postural Support Devices Kelly Waugh, PT, MAPT, ATP


展示1

掲載日:2016年03月24日

ゴルフ仕様電動車椅子:パッティンググリーンに入れるといっていた?


展示2

掲載日:2016年03月24日

見つけた日本:加地さんが出店


展示3

掲載日:2016年03月24日

見つけた日本:自動車用座位保持装置キャロットの米国改良版


展示4

掲載日:2016年03月24日

右の腕時計のようなバンドを手首にして、動力装置のついた車椅子を操作すると、電動車椅子に早変わり:Smart wheelchair




展示5

掲載日:2016年03月24日

見つけた日本:ヤマハも展示。専門家の質問が多いとのこと。


展示6

掲載日:2016年03月24日

マニュピュレータのデモ:難しいが練習でどこまでいけるか?


展示7

掲載日:2016年03月24日

全方向衝撃吸収機構がついた頭部支持


展示8

掲載日:2016年03月24日

膝屈伸、足部延長、足部底背屈の衝撃吸収機構のついた足部下腿膝支持


展示9

掲載日:2016年03月24日

インターネットで常にすべての機構の故障を含めたモニタリングが可能で、現在位置も見つけられるシステム


展示10

掲載日:2016年03月24日

介助者用ジョイステックがついた子供用座位保持装置付き電動車椅子


発表2

掲載日:2016年03月24日

小児病院の理学療法士が小児向け電動車椅子のトレーニング報告。14か月の赤ちゃんが電動車椅子をトレーニングし、操作できること、そして発達などに有効であることを報告。


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